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PLCの出力方式(リレー・トランジスタ・トライアック)の違いは理解した。では実際の設計・配線の現場ではどう判断し、どう注意すればいいのか——この記事はその「次のステップ」を扱います。
型番の読み方・サージ対策の手順・ソース型とシンク型の配線・中間リレーの選定まで、現場で繰り返し直面する実務ポイントを一冊分まとめました。
型番で出力方式を見分ける方法
出力ユニットを選定・発注・交換するとき、まず型番から出力方式を読み取れる必要があります。仕様書を開かなくても型番だけで判断できるようになると、現場での作業効率が上がります。
三菱MELSEC Qシリーズ
Qシリーズの出力ユニット型番は末尾の記号で出力方式が判別できます。
| 型番例 | 出力方式 | 点数 | 定格 |
|---|---|---|---|
| QY10 | リレー出力 | 16点 | 2A/点 |
| QY18A | リレー出力 | 8点 | 2A/点(独立コモン) |
| QY40P | トランジスタ出力(シンク) | 16点 | 0.1A/点 |
| QY41P | トランジスタ出力(シンク) | 32点 | 0.1A/点 |
| QY50 | トランジスタ出力(ソース) | 16点 | 0.1A/点 |
| QY68A | トライアック出力 | 16点 | 0.6A/点 |
読み方のポイント:QY のあとの数字・末尾の記号に注目します。P がついているものはトランジスタ出力(シンク型)、50番台はトランジスタ出力(ソース型)、10番台はリレー出力が多いという傾向があります。ただし例外もあるため、新しい型番を扱う際は必ず三菱電機のWebカタログで確認してください。
三菱MELSEC FXシリーズ
FXシリーズはCPUユニット本体の型番末尾に出力方式が含まれます。
| 型番例 | 出力方式 |
|---|---|
| FX3U-32MR/ES | リレー出力(R) |
| FX3U-32MT/ES | トランジスタ出力(シンク)(MT) |
| FX3U-32MT/ESS | トランジスタ出力(ソース)(MT/ESS) |
FXシリーズはRがリレー、MT/ESがトランジスタ(シンク)、MT/ESSがトランジスタ(ソース)と覚えておくと迷いません。なおS単独(MS/ES)はトライアック出力を指すため、ソース型トランジスタと混同しないよう注意してください。
キーエンスKVシリーズ
KVシリーズは型番の中間ブロックに出力方式の情報が入ります。
| 型番例 | 出力方式 |
|---|---|
| KV-B16TC | トランジスタ出力(シンク) |
| KV-B16RL | リレー出力 |
キーエンスは三菱と比べて型番体系がシンプルです。末尾がTCならトランジスタ出力(シンク)、RCやRLならリレー出力(Relay)と覚えると整理しやすいです。ただしシリーズによって体系が変わるため、KV NanoシリーズとKV-8000シリーズでは確認方法が異なります。
マニュアルと併用すると理解が深まる制御盤設計の参考書です。

図解 制御盤の設計と製作
トランジスタ出力のサージ対策 実務手順
トランジスタ出力は高速・長寿命である反面、誘導負荷(電磁弁・リレーコイル・ソレノイド等)を直接接続するとサージ電圧でトランジスタが破壊されるリスクがあります。
以前、DC電磁弁をサージ対策なしでトランジスタ出力に直結したところ、数週間で特定の出力点がON固着する症状が出ました。原因はサージによるトランジスタの内部破壊でした。この経験から、誘導負荷への接続では必ずサージ対策を施すことを鉄則にしています。
なぜサージが発生するのか
コイル(インダクタンス成分)はOFF時に逆起電力を発生させます。これがトランジスタの耐圧を超えると素子が破壊されます。DC24Vの回路でも、逆起電力は数百Vに達することがあります。
対策①:還流ダイオード(最も一般的)
負荷と並列に逆向きのダイオードを接続します。コストが低く、最も広く使われる方法です。
+24V ──────┬───────────────── コイル(電磁弁等)
│ │
└─── カソード[ダイオード]アノード ───┤
│
PLC出力点(ONで0Vへ)
シンク型(NPN)出力の場合、PLC出力点はON時に0V(GND)側に落ちます。ダイオードはアノードをPLC出力点(コイルの低電位側)に、カソードを+24V側に接続します。コイルのOFF時に発生する逆起電力をダイオードが吸収する経路を作ることで、トランジスタへのサージを防ぎます。
選定基準:
- 逆耐電圧:電源電圧の2倍以上(DC24V回路なら50V以上)
- 順方向電流:負荷電流以上
- 一般的な選定例:1N4007(1A・1000V)で多くの場合対応できる
注意点:還流ダイオードは応答速度をわずかに遅くします(OFFからコイルの磁束が消えるまでに時間がかかる)。高速な開閉が必要な用途では次のツェナーダイオード方式を検討してください。
対策②:ツェナーダイオード(応答速度重視)
還流ダイオードとツェナーダイオードを直列に組み合わせる方法です。ツェナー電圧分だけ逆起電力を素早く吸収するため、OFFの応答が速くなります。
頻繁なON/OFFが必要な用途(インバータ制御信号など)に向いています。
対策③:バリスタ(既製品での対応)
バリスタ(ZNR)を負荷と並列に接続する方法です。ダイオードと比べて取り付けが簡単で、AC・DCを問わず使える汎用性があります。一方で、ダイオードより吸収電圧が高くなるため、精密なトランジスタ保護にはダイオードの方が確実です。
方法の選定まとめ
| 対策 | コスト | 応答速度 | 汎用性 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| 還流ダイオード | 低 | 若干遅い | DC専用 | 一般的な電磁弁・リレーコイル |
| ツェナーダイオード | 中 | 速い | DC専用 | 高速開閉が必要な用途 |
| バリスタ | 低 | 中程度 | AC/DC両用 | 手軽に対策したい場合 |
ソース型・シンク型の配線の違い
トランジスタ出力には**シンク型(NPN)とソース型(PNP)**の2種類があります。配線の方向が逆になるため、混在すると誤動作や機器破損につながります。
シンク型(NPN)の配線
PLCの出力コモンを+24Vに接続し、各出力点が0V側に電流を流す(引き込む)方式です。
+24V ──── 負荷 ──── PLC出力点
│
0V(コモン)
日本の製造現場では長年シンク型が主流でした。三菱QシリーズのQY40P、キーエンスKV-B16XCはシンク型です。
ソース型(PNP)の配線
PLCの出力コモンを0Vに接続し、各出力点が+24V側から電流を供給(押し出す)方式です。
+24V(出力コモン)
│
PLC出力点 ──── 負荷 ──── 0V
欧州向け機器や近年のセンサーにはPNP(ソース型)が多く採用されています。三菱QシリーズのQY50はソース型です。
混在時の注意点
シンク型とソース型を同一回路に混在させると、意図しない電流経路が生まれ誤動作や機器破損の原因になります。
現場を新たに立ち上げる際は、センサー・アクチュエータ・PLCの出力方式を最初に統一方針を決めることが重要です。既存設備を改造する場合は、既存の配線方式に合わせるのが安全です。
知識として理解している内容ですが、現場での混在ミスの事例としてよく聞くのは「欧州製センサー(PNP)を日本の既存設備(NPN)に追加したときに動作しない」というケースです。この場合は変換用の中間リレーを使うか、センサー側の設定切替(NPN/PNP切替スイッチ付きのセンサーも多い)で対応できます。
中間リレーを噛ませる設計の実務
トランジスタ出力を基本に統一し、AC負荷が必要なときだけ中間リレーを介する——これが私の現場での設計方針です。出力ユニットを高速・長寿命に保ちつつ、AC/DCの混在にも柔軟に対応できます。
中間リレーの選定基準
オムロンのMYシリーズが現場でよく使われています。
| 型番 | コイル電圧 | 接点構成 | サージキラー | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| MY2N-D2 DC24 | DC24V | 2c接点 | あり(内蔵) | 汎用・小型・推奨モデル |
| MY4N-D2 DC24 | DC24V | 4c接点 | あり(内蔵) | 接点数が必要な場合・推奨モデル |
| MY2N DC24 | DC24V | 2c接点 | なし | 外付けサージキラーを別途追加する場合 |
コイルにはOFF時にサージ電圧が発生します。サージキラー内蔵モデル(D2付き)を基本推奨とします。標準モデル(MY2N)を使う場合は外付けでサージキラーを追加してください。サージ対策の詳細はこちらの記事で解説しています。
選定のポイント:
- コイル電圧:PLC出力の電源電圧(DC24V)に合わせる
- 接点電流容量:接続する負荷の電流より十分大きいものを選ぶ(余裕を持って2倍程度)
- 接点構成:1つの信号で複数の機器を同時制御する場合はc接点数の多いタイプを選ぶ
- サージキラー:D2付きモデルを基本とし、省略する場合は外付けで対策する
ソケットの選定
リレー単体ではなくソケット(台座)との組み合わせで使います。ソケットを使うことで、リレーの交換がドライバー不要でワンタッチになります。
| リレー型番 | 対応ソケット |
|---|---|
| MY2N | PYF08A |
| MY4N | PYF14A |
ソケットにはDINレール取付タイプを選ぶと制御盤内の配線整理がしやすくなります。
コストと効果のトレードオフ
中間リレー+ソケットの追加コストは1点あたり数百円〜1,000円程度です。出力ユニット1枚が数万円することを考えると、ユニットを守るための保険として十分ペイすると判断しています。
特に改造・更新が多い設備やAC負荷と混在する設備では、中間リレーを介する設計を最初から織り込んでおくことをお勧めします。
出力ユニット交換時の注意点
出力ユニットを交換・更新する際に見落としやすいポイントをまとめます。
①互換性の確認
同じシリーズ内でも、製造時期・ロットによって仕様が微妙に異なる場合があります。特に以下の点を確認してください。
- 出力電流容量:旧ユニットと同等以上か
- コモンの構成:旧ユニットが独立コモンの場合、新ユニットが共通コモンだと配線変更が必要になる
- シンク型・ソース型:既存配線に合わせて必ず確認する
②電源を落としてから交換する
Qシリーズはホットスワップ(通電中の抜き差し)に対応したユニットがありますが、出力ユニットは原則として電源を落としてから交換してください。誤って出力がONのまま抜き差しすると、接続機器が誤動作します。
③交換後のパラメータ・アドレス確認
交換後は以下を確認してから起動してください。
- GX Works等のエンジニアリングツールで出力ユニットのアドレス割り付けが正しいか
- 試運転モードで1点ずつ強制出力して実際の機器が動作するか確認する
- 交換前後で出力の応答タイミングに変化がないか確認する
設計・配線時の実務チェックリスト
設計時と配線完了後の確認に使えるチェックリストです。
設計フェーズ
- 負荷の電源種別(AC/DC)を全点確認した
- 高速・高頻度動作が必要な出力点を洗い出した
- トランジスタ出力にする点の誘導負荷をリストアップした
- 誘導負荷へのサージ対策方法を決定した
- シンク型・ソース型の統一方針を決めた
- AC負荷を制御する点に中間リレーを計画した
- 中間リレーの容量・型番を選定した
配線フェーズ
- コモン配線の接続先(+24V/0V)がシンク・ソース型と一致している
- 誘導負荷にサージ対策部品が取り付けられている
- 還流ダイオードの極性が正しい(逆接続していない)
- 中間リレーのコイル電圧が出力電源と一致している
- 出力ユニットの定格電流を超える負荷がない
試運転フェーズ
- 強制出力で全点のON/OFFを確認した
- 誘導負荷のOFF時にサージ電圧が出ていないか確認した
- 高速パルス出力点の周波数・デューティが仕様通りか確認した
試運転・日常点検で活躍するデジタルマルチメーターです。サージ電圧の確認にも使えます。

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まとめ
出力ユニットの選定と配線設計で押さえるべきポイントを整理します。
- 型番の読み方:三菱QシリーズはP/50番台/10番台で判別、FXシリーズはR/MT/MT-ESSで判別、キーエンスはTC/RLで判別
- サージ対策:誘導負荷への還流ダイオードは必須。省略するとトランジスタが破壊される
- シンク・ソース型:現場内で統一する。混在は誤動作の原因になる
- 中間リレー:トランジスタ出力+オムロンMY-D2シリーズ(サージキラー内蔵)の組み合わせが汎用的
出力ユニットの設計・配線は「動けばよい」ではなく、長期間安定稼働できるかという視点で組むことが重要です。上記のチェックリストを活用して、現場での設計品質を高めてください。
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