電験三種【法規】出題傾向を完全分析|過去6回分の問題を現役エンジニアが徹底調査【2026年版】

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電験三種【法規】出題傾向を完全分析|過去6回分の問題を現役エンジニアが徹底調査【2026年版】

法規は「暗記科目だから後回しにする」という受験生が多いですが、実は出題傾向が非常に安定している科目です。

この記事では、試験センター公式サイトで公開されている過去6回分(令和5年上期〜令和7年下期)の問題PDFを実際にすべて読み込んで、A問題・B問題それぞれの傾向を整理しました。

私自身、関西の工場で生産技術エンジニアとして働きながら電験三種を取得しました。現場で実際に使う知識と試験で問われる内容が重なっているところも、この記事でお伝えしていきます。

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試験の基本構成

まず構成を確認しておきましょう。

区分 問題数 配点 合計
A問題 10問 各6点 60点
B問題 3問 各13〜14点 40点
合計 13問 100点

合格の目安は60点です。

A問題は選択肢の穴埋め形式が中心で、条文の正確な暗記が問われます。B問題は計算問題で、問ごとに(a)・(b)の2問構成になっています。

戦略的には、A問題で安定して得点を積み上げることが合格への近道です。A問題10問すべて正解で60点となり、それだけで合格点に届きます。


A問題の出題傾向:カテゴリ別頻度分析

過去6回の出題マッピング

6回分の問題を実際に読み込んで、各問のテーマを一覧にしました。

R5上期 R5下期 R6上期 R6下期 R7上期 R7下期
問1 電気事業法(主任技術者) 電気事業法(保安規程) 電気事業法(技術基準適合) 電気事業法(一般用工作物の定義) 電気事業法(OCCTO・需給) 電気事業法(使用制限)
問2 電気関係報告規則 電工業法(電気工事業者) 電気関係報告規則 電工士法(資格と作業範囲) 電気関係報告規則 電気関係報告規則
問3 電技(過電流保護) 電技(電路の絶縁) 電技(光ファイバ定義) 電技(電路の絶縁) 電技(低圧線路の絶縁性能) 電技(保安原則・接地)
問4 電技解(太陽電池絶縁) 高圧機器の施設 高圧機器の施設 B種接地抵抗の計算 アーク器具の施設 電技解(接地工事の適否)
問5 支持物の倒壊防止 地中電線の危険防止 風力発電設備の技術基準 電磁誘導障害の防止 風力発電設備の技術基準 低圧線路の漏えい電流計算
問6 地中電線の離隔距離 架空電線路の足場金具 高圧架空引込線の施設 地中電線の離隔距離 低圧架空引込線の施設 高圧屋側電線路の施設
問7 分散型電源(用語定義) 分散型電源(系統連系) 高圧連系保護装置 再閉路時の事故防止 高圧連系保護装置 IEC国際規格の取り入れ
問8 配線の使用電線 電気さくの施設 低圧電路の絶縁性能 移動電線の施設 低圧・高圧配線の施設 感電・火災の防止
問9 屋内電路の対地電圧 ライティングダクト工事 配線器具の施設 電動機の過負荷保護 金属ダクト工事 電気自動車(V2H)の施設
問10 最大需要電力の計算 変流器(知識問題) SOG機能付PASの動作 変流器(知識問題) SOG機能付PASの動作 高圧受電設備(単線結線図)

これを見ると、出題のパターンが非常に明確です。以下、重要度別に解説します。


★★★ 6回中6回出題:確実に出るテーマ

問1:電気事業法

6回すべて問1で出題されています。条文は毎回異なりますが、出題元はすべて電気事業法(または電気事業法施行規則)です。

過去6回の出題テーマは以下のとおりです。

  • 主任技術者の選任と職務(R5上期)
  • 保安規程に定めるべき事項(R5下期)
  • 事業用電気工作物の技術基準適合義務(R6上期)
  • 一般用電気工作物の定義(R6下期)
  • OCCTOの役割と大臣の命令権(R7上期)
  • 電気の使用制限命令(R7下期)

対策のポイント:電気事業法の第1章〜第4章あたりの条文を広く読んでおく必要があります。毎回テーマが変わるため、「電気事業法の全体像をざっくり把握している状態」が理想です。

問2:電気関係報告規則(または電気工事関連法)

6回中4回が電気関係報告規則、残り2回が電気工事士法・電気工事業法からの出題でした。

電気関係報告規則の出題パターンは大きく2種類です。

  1. 事故の定義の穴埋め(電気火災事故・破損事故・供給支障事故とは何か)
  2. 事故報告が必要か不要かを選ぶ問題(感電で入院した、設備が損傷した、などのシナリオから該当するものを選ぶ)

とくに2のパターンは、「感電で病院で治療→報告不要、感電で入院→報告必要」という細かい区別が問われます。報告義務の要件(速報24時間・詳報30日など)も毎回狙われます。

問3:電気設備技術基準(本文)

電技(省令)の条文から穴埋め問題が出ます。6回連続出題。過去の出題テーマは次のとおりです。

  • 電路の絶縁原則(2回出題)
  • 過電流からの保護
  • 光ファイバケーブルの定義
  • 低圧線路の絶縁性能(漏えい電流の基準)
  • 電気設備の保安原則

電技の条文は短く、数も限られているので、主要な条文はそのまま読み込んで暗記するのが効率的です。


★★★ ほぼ毎回出る重要テーマ

接地工事(問4・問5エリアで頻出)

A問題の問4〜問5あたりに接地工事に関する問題がよく出ます。また後述のB問題でも頻繁に計算問題として出題されます。

押さえるべきポイントは次のとおりです。

  • A〜D種接地工事の使い分けと接地抵抗値
  • 水気のある場所・乾燥した場所での接地省略条件
  • 漏電遮断器がある場合の特例

工場で現場作業をしている方なら、D種接地(旧第3種)は日常的に扱う工事です。試験では数値の細かい条件が問われるので、実務での感覚だけに頼らず条文を確認しておきましょう。

分散型電源・系統連系(問7エリアで頻出)

6回中5回出題されています。再生可能エネルギーの普及に伴い、試験でも定着したテーマです。

出題パターンは2種類あります。

  1. 用語定義問題:単独運転・逆潮流・逆充電・自立運転などの定義の正誤判定
  2. 保護装置の穴埋め:過電圧リレー・不足電圧リレー・地絡過電圧リレー・単独運転検出装置などの組み合わせ

「単独運転」「逆潮流」「解列」などのキーワードの意味を正確に理解することが先決です。表の組み合わせ問題は、一度しっかり整理すると解きやすくなります。

架空電線路の施設基準(問5〜問6エリアで頻出)

架空引込線・地中電線・屋側電線路など、電線路の施設に関する問題が毎回1〜2問出ます。

よく問われる数値:

  • 低圧架空引込線の最小径(2.6mm以上、短径間は1.6mm)
  • 高圧架空引込線の最小径(5mm以上)
  • 地中電線相互の離隔距離(低高圧間0.15m、特高との間0.3m)
  • 支持物の足場金具は地表上1.8m未満に施設してはならない

★★ 2〜3回に1回程度出るテーマ

風力発電設備の技術基準

R6上期・R7上期と2回連続で上期に出題されています。「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」から条文の穴埋めが出ます。

  • 風車が自動停止すべき条件(回転速度の著しい上昇、制御装置の機能低下)
  • 支持構造物の強度要件(自重・積雪・風圧・地震に耐えること)
  • 避雷措置(高さ20m超の設備)

法規の中では少し特殊な条文なので、過去問演習で一度触れておくと十分です。

SOG機能付PAS(問10エリアで頻出)

R6上期・R7上期と2回連続出題。GR付PASのSO動作(短絡電流を遮断できないため、一時保存→無電圧確認→開放するメカニズム)が問われます。

自家用電気工作物の受電設備を扱う実務者には馴染みのある内容です。「波及事故を防ぐ仕組み」として理解しておくと記憶に定着します。

変流器の知識問題(注目)

R5下期と R6下期で、ほぼ同じ内容の問題が出題されています。

問われた内容:

  • 変流器は二次側に開閉器・ヒューズを設置してはいけない
  • 通電中に二次側を開放すると異常電圧が発生し絶縁破壊の危険がある
  • 交換時は二次側を短絡してから行う
  • 一次電流が一定でも変流比は変化しない(R6下期では「変化する」と書かれた選択肢が誤りとして出題)

変流器は工場の高圧受電設備で必ずお目にかかる機器です。「CTの二次側を開放してはいけない」は現場でも常識ですが、試験では「なぜいけないのか(異常電圧発生→絶縁破壊)」まで問われます。


★ 近年の新傾向(要チェック)

電気自動車からの電力供給(V2H)

R7下期に初めて出題されました。「電気自動車等から一般用電気工作物に電気を供給するための設備」に関する条文で、対地電圧の制限や直流電路の非接地要件などが問われています。

再生可能エネルギーやEV普及の流れを受けた出題で、今後も継続して出題される可能性があります。

IEC国際規格の取り入れ(第7章)

R7下期に出題。問題文中に「第7章 国際規格の取り入れ」と明示されているタイプの問題です。通常の電技解釈(第1〜6章・第8章)とは別枠の扱いになります。接地工事の整合要件など、やや細かい条件が問われました。


B問題の出題傾向:計算パターン完全整理

B問題(問11〜問13)は計算問題です。6回分を見ると、出てくる計算パターンは意外と限られています。

接地抵抗の計算(出現頻度:最高)

6回中4回(R5上期・R6上期・R6下期・R7下期)で出題されています。B問題では最も頻度が高いテーマです。

基本パターン:

  • 高圧電路の1線地絡電流 I₁ から、B種接地工事の接地抵抗上限値を求める
  • 遮断装置の動作時間(1秒超・1秒以内・1秒以内0.5秒超)で計算式が変わる点に注意

たとえばR7下期の問11では、大地抵抗率と棒状接地極の寸法から接地抵抗値を求める、やや応用的な問題も出ました。

水力発電の計算(出現頻度:高)

R6下期・R7上期で出題。年間流況曲線(日数-流量グラフ)を読み取り、発電電力量・設備利用率を求めます。

使う公式は「P = 9.8 × Q × H × η」のみで、グラフの読み取りと積分計算(台形面積など)が正確にできれば解けます。

進相コンデンサ・力率改善の計算(出現頻度:高)

R5下期・R6上期・R6下期で出題。6%直列リアクトル付きコンデンサの端子電圧計算と、力率改善に必要なコンデンサ容量の計算が2パターン。

注目点として、R5下期とR6上期の問12はほぼ同じ数値・同じ問題構成でした。「300kW、遅れ力率0.6」という条件から6%リアクトル付きコンデンサの端子電圧を求める問題は、完全に定番化しています。

その他の計算(各1〜2回)

テーマ 出題回
電圧降下・力率改善(配電線路) R6上期
高調波電流(5次調波) R7上期
絶縁耐力試験(充電電流・試験容量) R7下期・R6下期
需要率・負荷率 R5上期
地絡電流の分流(静電容量から計算) R5下期
風圧荷重(甲種・乙種) R5上期
太陽光発電所の電力量・自給率 R7上期
架空電線路の支線計算 R7下期
保護協調・波及事故 R5下期・R6下期

現役エンジニアから見た「法規と実務の接点」

試験の準備をしながら、現場との共通点に気づくと記憶に定着しやすくなります。

接地工事は、工場の現場では電動機・制御盤・分電盤など日常的に施工・確認する内容です。ただし現場では「とりあえずD種」で済ませることも多く、試験で問われる「水気のある場所での省略条件」や「C種との使い分け」は意識的に整理し直す必要があります。

保護協調・波及事故は、自家用受電設備を管理する立場では避けて通れないテーマです。「事故が構内だけで収まるか、電力会社の配電線まで影響が及ぶか(=波及事故)」という感覚は現場経験で身についていますが、試験では継電器動作特性のグラフから読み取る力も必要です。

電気関係報告規則の事故報告義務は、実際に事故が起きたとき誰が何時間以内に誰に連絡するか、という実務そのものです。「速報:24時間以内・詳報:30日以内」という数字は覚えておいて損はありません。


合格のための優先学習順位

以上の分析から、法規の学習優先度を整理します。

最優先(6回すべて出題)

  1. 電気事業法の全体像(法の目的・主任技術者・保安規程・電気工作物の種別)
  2. 電気関係報告規則(事故の定義・報告義務の要件)
  3. 電気設備技術基準(省令)の主要条文(絶縁・保安原則)

高優先(5〜6回出題) 4. 接地工事の要件と数値(A〜D種、省略条件) 5. 分散型電源・系統連系の用語と保護装置の組み合わせ 6. 架空電線路・地中電線路の施設基準(数値を中心に)

B問題の計算(頻度順) 7. B種接地抵抗の計算(地絡電流から上限値を求める) 8. 水力発電の計算(流況曲線から発電電力量・設備利用率) 9. 進相コンデンサ・力率改善の計算

余裕があれば 10. 風力発電設備の技術基準 11. SOG機能付PAS 12. 変流器の知識問題


まとめ

電験三種の法規は、出題パターンが非常に安定しています。過去6回分を分析すると、問1の電気事業法・問2の電気関係報告規則・問3の電技条文は6回連続で同じ枠から出ており、「どこを勉強すべきか」が明確です。

計算問題は種類こそ多いですが、接地抵抗・水力発電・進相コンデンサの3パターンを押さえれば多くの回で得点できます。

法規は暗記要素が多い反面、試験直前の1〜2ヶ月で集中的に仕上げやすい科目でもあります。この記事の分析を活用して、効率よく学習を進めてください。


※ この記事は試験センター公式サイト(https://www.shiken.or.jp)で公開されている過去問PDFをもとに作成しています。出題傾向は今後変わる可能性があります。


TKappy

筆者:TKappy

関西在住の現役生産技術エンジニア。現場のトラブル対応からITスキルの活用まで、実体験に基づいた技術情報を発信中。 詳しく見る

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