電験三種【理論】合格のための計算問題パターン10選——過去問から頻出だけ厳選
目次
「理論が難しくて手が止まる」
電験三種の受験生から一番多く聞く悩みです。
でも正直に言うと、理論の計算問題で点を落とす人の多くは「電気が苦手」なのではなく、出題パターンを知らないだけだと思っています。
そこで今回は、電気技術者試験センターが公開している令和4年〜令和7年の直近6回分(上期・下期)の理論科目を実際に分析しました。その結果、理論の計算問題は大きく10パターンに絞り込めることがわかりました。
この10パターンをマスターするだけで、理論の計算問題のおよそ7〜8割をカバーできます。
過去問分析から見えた「出題の構造」
まず全体像を把握しておきましょう。直近6回の分析で見えた出題の構造はこうです。
| テーマ | 6回中の出現 | 配置される問番号 |
|---|---|---|
| 静電気・コンデンサ | 6/6回 | 問1〜2(必出) |
| 磁気・電磁誘導 | 6/6回 | 問3〜4(必出) |
| 直流回路(オーム・キルヒホッフ) | 6/6回 | 問5〜7(複数問) |
| RLC交流回路 | 6/6回 | 問8〜9 |
| 過渡現象(RL・RC回路) | 6/6回 | 問10(必出) |
| 三相交流 | 6/6回 | B問題問15(必出・高配点) |
| 電子回路・半導体 | 5/6回 | 問11〜13・選択問題 |
| ブリッジ回路・電気計測 | 3〜4/6回 | B問題問16 |
この記事では、6回全てに登場した最重要パターンを優先して解説します。
この記事の使い方
計算問題のパターン学習は、次の3ステップで進めると効率的です。
- 公式を確認する:この記事で各パターンの公式と考え方を押さえる
- 例題を解く:参考書の例題でパターンに慣れる
- 過去問で仕上げる:実際の試験問題で時間感覚を養う
参考書・過去問集の選び方については、別記事でまとめています。
→ 電験三種のおすすめ参考書——現役エンジニアが実際に使ったものを正直レビュー
パターン1:静電気・コンデンサ【問1に毎回登場】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
直近6回の全てで問1または問2に出題されている、理論科目の「顔」とも言えるテーマです。
使う公式 $$C = \epsilon_0 \epsilon_r \frac{S}{d}$$ $$Q = CV, \quad W = \frac{1}{2}CV^2$$
解法の手順
- 誘電体の構成(直列か並列か)を判別する
- 合成静電容量$C$を求める
- 公式で電荷・エネルギーを計算する
ひっかかりやすいポイント コンデンサの「直列・並列」は抵抗と逆です。誘電体が縦に積み重なっているなら直列、横に並んでいるなら並列です。ここを混同すると全問外れます。
パターン2:磁気・電磁誘導【問3〜4に必出】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
使う公式 $$H = \frac{I}{2\pi r} \text{(直線導体)}, \quad H = \frac{I}{2r} \text{(円形中心)}$$ $$e = N \frac{\Delta \Phi}{\Delta t} = L \frac{\Delta I}{\Delta t}$$
ひっかかりやすいポイント 直線磁界の公式には $\pi$ がありますが、円形中心にはありません。問題文で「直線」か「円形」かを必ず確認しましょう。
パターン3:直流回路(オーム・キルヒホッフ)【問5〜7】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
解法の手順(キルヒホッフ)
- 各枝路の電流($I_1, I_2…$)の向きを仮定する
- 節点でKCL(電流則)、閉回路でKVL(電圧則)の式を立てる
- 連立方程式を解く
アドバイス 電流の向きを仮定するとき、実際の向きと逆になっても構いません。計算結果がマイナスなら「仮定と逆向き」というだけです。
パターン4:RLC交流回路・インピーダンス【問8〜9付近】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
使う公式 $$X_L = \omega L, \quad X_C = \frac{1}{\omega C}$$ $$Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}$$
ひっかかりやすいポイント $X_L$と$X_C$は「引き算」して使います。角周波数$\omega$(rad/s)と周波数$f$(Hz)の関係($\omega = 2\pi f$)も必ず押さえましょう。
パターン5:有効電力・無効電力・力率
出題頻度:★★★★☆
使う公式 $$P = VI \cos \theta \text{ [W]}, \quad Q = VI \sin \theta \text{ [var]}$$ $$\text{力率} \cos \theta = \frac{P}{S} = \frac{R}{Z}$$
「力率改善」問題は、改善前の無効電力$Q$をコンデンサの無効電力で打ち消す、という考え方で解きます。
パターン6:過渡現象(RL・RC回路)【問10に毎回登場】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
近年は「数値計算」よりも**「波形(グラフ)を選ぶ問題」**が主流です。
解法の手順(波形問題)
- スイッチ操作前の状態(コンデンサ:開放、コイル:短絡)を確認
- 操作直後の初期値を確認(電圧・電流は急変しない)
- 指数関数的に変化する波形を選択
パターン7:三相交流(Y・Δ結線)【問15に毎回登場・高配点】
出題頻度:★★★★★(6/6回)
B問題の問15として出題され、2問で合計10点を占めます。
使う公式
- Y結線: $V_L = \sqrt{3} V_p, \quad I_L = I_p$
- Δ結線: $V_L = V_p, \quad I_L = \sqrt{3} I_p$
- 三相電力: $P = \sqrt{3} V_L I_L \cos \theta$
ひっかかりやすいポイント $\sqrt{3} \approx 1.732$ を使います。「線間電圧」と「相電圧」の読み間違いは致命的なミスになります。
パターン8:共振回路(直列・並列)
出題頻度:★★★☆☆
使う公式 $$f_0 = \frac{1}{2\pi \sqrt{LC}}$$
直列共振ならインピーダンス最小(電流最大)、並列共振ならインピーダンス最大(電流最小)になります。
パターン9:ブリッジ回路・電気計測【B問題問16】
出題頻度:★★★☆☆
使う公式
- ブリッジ平衡: $R_1 \times R_4 = R_2 \times R_3$
- 分流器(電流拡大): $R_s = \frac{r}{n-1}$
パターン10:電子回路(トランジスタ・FET)
出題頻度:★★★☆☆
問17または問18の選択問題として出題されます。苦手な場合は、問18の論理回路(デジタル)を選ぶという戦略も有効です。
計算問題を解く前に確認したい「単位変換」
| 変換 | 注意点 |
|---|---|
| $1 \text{ mH} = 10^{-3} \text{ H}$ | 単位をHに統一してから代入 |
| $1 \text{ \mu F} = 10^{-6} \text{ F}$ | 単位をFに統一してから代入 |
| $1 \text{ kV} = 1,000 \text{ V}$ | 送電回路はkV単位が多い |
まとめ
まず🔴最優先の6パターン(1・2・3・4・6・7)を固めましょう。これだけで理論の得点の70〜80%をカバーできます。
合格を目指している方の参考になれば嬉しいです。
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筆者:TKappy
関西在住の現役生産技術エンジニア。現場のトラブル対応からITスキルの活用まで、実体験に基づいた技術情報を発信中。 詳しく見る